韓民族・選民大叙事詩(神話編)

【要約】 韓民族は東夷(とうい)民族であり、平和を愛し、他民族を侵略したことのない選民である。「大韓民国(テハンミングク)」の根は、数千年前の「韓氏朝鮮(ハンシ・チョソン)」に始まり、「韓(ハン)」は大きい・明るい・神を意味する。檀君(タングン)神話は、摂理史観によって読むとき深い意味を顕す。桓因(ファニン)は天の父母様、桓雄(ファヌン)は復帰された息子、熊女(ウンニョ=熊から変じた女)は人格を完成した真の女性を象徴し、熊が「三七日(さんしちにち)」の試練を乗り越え檀君王倹(タングンワンゴム)を生んだことは、メシヤ誕生と平和世界完成の予言的啓示である。韓民族の女性神話には、創造・生命・救援を司る女性神性(しんせい)の伝統が深く流れており、これが独り娘神学の土壌となる。純潔・敬天愛人・弘益人間(ホンイクインガン)・平和を神話の中に盛り込んだ民族は、韓民族のみである。真の歴史とは王朝の年表ではなく、天の父母様と人間が共に書き記してきた叙事であり、その中心に天地人真の父母がおられる。

真の父母様のみ言葉

(1988年6月15日 真のお父様) 韓国は5千年の歴史を経てくる間、今まで犠牲になってきました。韓民族は東夷民族であり、本来、戦争を嫌い、平和を愛好する民族です。韓国の歴史を見ると、他国を侵略したことがありません。数多くの侵略を受けましたが、侵略をしたことはないということです。それこそ正義に燃える民族です。わが民族の起源をさかのぼると、古朝鮮(コチョソン)以前に韓氏が住んでいたという記録が出てきます。

(2013年12月6日 真のお母様) わが国の歴史学者たちは、古朝鮮以前の時代に、檀君を生んだ桓雄が治める国があったと主張しています。歴史記録に出てくる桓(ファン)は、古い音に従えば韓(ハン)と表記します。ですから桓雄(ファヌン)と韓雄(ハヌン)は同じ言葉です。檀君神話には、韓民族を天孫民族として選ばれた神の御旨が込められています。韓民族という言葉や、大韓民国という国号の根源を知る人は多くありません。その根源は「韓氏朝鮮」に求めることができます。数千年前に、中国東北地域から朝鮮半島に至る広大な領土の統治者が韓氏の血統であり、その国を「韓氏朝鮮」と呼んだということです。わが民族が韓民族であり、わが国号が大韓民国になったのは、まさにこの「韓」に由来するということです。

真のお母様のみ言葉のように、「韓民族」という名と「大韓民国」という国号の根は、数千年前に中国東北地域から朝鮮半島に至る広大な地を治めた「韓氏朝鮮」に始まりました。「韓(ハン)」という文字には、大きい、明るい、無限である、一つ、神という意味が込められています。

「韓民族・選民大叙事詩」とは、どのようなジャンルなのか

真のお母様は、あえて「大叙事詩」という言葉を使われました。なぜそうされたのでしょうか。大叙事詩とは、一つの民族や国家の歴史的事件、神話、伝説、英雄譚を、論理や科学で証明しようとするジャンルではありません。物語という形式を通して、それらの事件が「私たちにどのような意味を与えるのか」を探求するジャンルです。

ですから「これは事実ですか、虚構ですか」と問われるなら、大叙事詩の目的は純粋な科学的研究ではない、とお答えできます。一つの社会、民族、文明、歴史を貫きながら、人間と世界についての意味を叙述すること、それが叙事詩の本質です。

一般に、歴史は目に見える事実に基づいて叙述されます。ところが、私たちはこう問うことができます。「目に見えるものだけが事実なのか」と。目には見えないけれども、無形の天の父母様が歴史の一軸を握り、導いてこられたのなら、その神を抜きにしては、歴史を完全に説明することはできません。神と人間が共に作っていく歴史の意味を叙述する視点、これを「摂理史観」といいます。

韓民族・選民大叙事詩を学ぶ理由は、まさにこれです。「私たちはどのような民族なのか」「どの方向へ進むべきか」「どう生きていくべきか」について、天の父母様が願われる答えを見いだすためです。

「選民」の新しい意味

選民(せんみん)という言葉は、「神の選びを受けて契約を結んだ民族」というキリスト教的概念としてよく知られています。ところが、この概念が特殊で狭い意味だけにとどまっていてはなりません。

私たちが言う選民とは、単に韓国で生まれた人だけを指すのではありません。神の御旨を知り、祝福家庭として生きようとする全世界のすべての祝福家庭が選民です。天の祝福を受け、その責任を全うする者が、真の選民です。

世界各国の神話

韓民族神話の特徴を理解するために、まず世界各国の神話を一度見てみましょう。

アジア:中国の盤古(ばんこ)神話、日本のイザナギ・イザナミ神話、インドのブラフマー神話。

ヨーロッパ:ギリシャのヘシオドス神話、北欧のユミル神話、ローマのロムルス神話。

アメリカ:マヤのポポル・ヴフ神話、アステカの五つの太陽の神話、インカのマンコ・カパック神話。

アフリカ:エジプトのアトゥム神話、ナイジェリアのオドゥドゥワ神話、南アフリカのウンクルンクル神話。

代表的な世界神話の物語

中国:盤古(ばんこ)神話。 太初、宇宙は卵のような形をした混沌の塊でした。その中で1万8千年眠っていた巨人・盤古が、斧で混沌を打ち砕きました。清らかな気は天となり、濁った気は地となり、1万8千年後に盤古が死ぬと、その目は太陽と月に、血は川に、肉は大地に、毛は森になりました。

日本:イザナギ・イザナミ。 神々の命により、イザナギ(男)とイザナミ(女)の二神が、宝石の矛で混沌の海をかき混ぜました。矛の先から落ちた水のしずくが固まって日本列島となり、二神は結婚して数多くの神と自然を生みました。イザナミが火の神を生んで死んだ後、イザナギが黄泉(よみ)の国を往来する中で、太陽神アマテラス、嵐の神スサノオ、月の神ツクヨミが誕生しました。

インド:ブラフマーの創造。 太初、ヴィシュヌが宇宙の海の上に眠っており、その臍(へそ)から蓮の花が咲き、創造主ブラフマーが生まれました。ブラフマーは瞑想によって、水・火・大気・地・天の五元素と、神々、人間、動植物を創造しました。ブラフマー(創造)・ヴィシュヌ(維持)・シヴァ(破壊)の三神構造が、インド神話の核心です。

世界神話の共通パターン

世界の神話を見ると、共通したパターンがあります。混沌から秩序を作り出すということ、そして神の死と犠牲によって世界が誕生するということです。これと比較される韓民族の神話を見てみましょう。

韓民族の創世神話:檀君神話

韓民族の創世神話は、『三国遺事(さんごくいじ)』に記録されています。『三国遺事』は、高麗(コリョ)後期の僧・一然(イリョン)が編纂した歴史書で、古朝鮮から後三国までの歴史・神話・仏教・民俗を記録した、韓国古代史の宝庫です。

檀君神話 原文(漢文)

〔魏書云〕乃往二千載 有壇君王儉 立都阿斯達 開國號朝鮮 與高同時。

〔古記云〕昔有桓因 庶子桓雄 數意天下 貪求人世。父知子意 下視三危太伯 可以弘益人間。乃授天符印三箇 遣往理之。雄率徒三千 降於太伯山頂 神壇樹下 謂之神市 是謂桓雄天王也。將風伯・雨師・雲師 而主穀・主命・主病・主刑・主善惡 凡主人間三百六十餘事 在世理化。

時有一熊一虎 同穴而居 常祈于神雄 願化爲人。時神遺靈艾一炷 蒜二十枚 曰「爾輩食之 不見日光百日 便得人形。」熊虎得而食之 忌三七日 熊得女身 虎不能忌 而不得人身。熊女者 無與爲婚 故每於壇樹下 呪願有孕。雄乃假化而婚之 孕生子 號曰壇君王儉。

檀君神話(日本語訳)

『魏書(ぎしょ)』にいわく――今から2千年前に檀君王倹(タングンワンゴム)があった。阿斯達(アサダル)に都を建て、国を開いてその名を朝鮮(チョソン)といった。中国の堯(ぎょう)帝と同じ時期である。

『古記(こき)』に――昔、桓因(ファニン)があり、その庶子(しょし=側室の子)である桓雄(ファヌン)が、しばしば天下に意を向け、人間世界を欲し求めた。父は子の意を知り、下界の三危太伯(さんきたいはく)を見下ろすと、広く人間を益する〔弘益人間〕にふさわしかった。そこで天符印(てんぷいん)三個を授けて遣わし、治めさせた。桓雄は三千の徒を率いて太伯山(テベクサン)の頂に降り、神壇樹(しんだんじゅ)の下に至り、ここを神市(しんし)と名づけた。この方を桓雄天王(ファヌンチョンワン)という。風伯・雨師・雲師を率い、穀物・生命・疾病・刑罰・善悪を主管し、およそ人間の三百六十余りの事を主管して、世にとどまり、治め、教化した。

このとき、一頭の熊と一頭の虎が同じ洞窟に住みながら、いつも桓雄に祈り、人間に変わることを願った。そこで桓雄は、神霊なヨモギ一束とニンニク二十個を与えて言った。「お前たちがこれを食べ、百日の間、日光を見なければ、人の形を得るであろう。」熊と虎はこれを受けて食べ、三七日(7・7・7)の間、禁忌を守ったところ、熊は女の体を得たが、虎は禁忌を守れず、人の体を得られなかった。熊女(ウンニョ)は婚姻する相手がいなかったので、神壇樹の下で子を宿すことを毎日祈った。桓雄はそこで、しばし人に変じて婚姻し、熊女は身ごもって子を生んだ。その名を檀君王倹(タングンワンゴム)といった。

檀君神話の原理的解釈

ここで韓氏朝鮮、すなわち古朝鮮が始まりました。この韓民族の神話を原理的に解釈すると、驚くべき意味が顕れます。まず、桓(ファン)という字は、古くから国名に用いる韓(ハン)という字と根を同じくする漢字として使われてきました。桓雄(ファヌン)を「ハヌン」と、桓国(ファングク)を「韓国(ハングク)」と読むこともあります。桓(ファン)は柱を意味しますが、象徴的な意味は光と柱です。神話的には、天の明るい光(桓因)です。

桓因(ファニン)=天の父母様

桓因は神、すなわち天の父母様を象徴します。

桓雄(ファヌン)が嫡子ではなく庶子として現れたこと=復帰された子女(次子アベル)

桓雄は庶子(しょし)、すなわち次子(じし)格の位置です。人間は本来、神の実の子女でしたが、ルーシェルとの堕落によってサタンの子女となり、そこから復帰された立場として理解します。

天符印(てんぷいん)三個=三大祝福

天符印(天の符・三つの印)は、聖書の「生めよ、増えよ、主管せよ」という三大祝福を意味します。

神壇樹(しんだんじゅ)=生命の木

神壇樹は、聖書の生命の木を意味します。

熊と虎=堕落した人間

熊と虎は、弱肉強食で生きる動物的価値観に堕ちた堕落人間を比喩します。

「日を見るな」=性的純潔

昔から、日(太陽)は男を、月は女を象徴します。「百日の間、日を見るな」とは「男を知るな」、すなわち性的純潔を守れという意味です。洞窟の中でヨモギとニンニクだけを食べて精誠を込めよ、ということは、性的誘惑に打ち勝ち、周囲の人々の迫害を受けても試練と苦難を耐え忍び、至誠が天に通じるまで成長せよ、という意味です。

虎の失敗と熊の成功

虎は性欲を耐えきれず、洞窟の外へ飛び出してしまい、結局、堕落人間のまま残りました。一方、熊のような女人は最後まで忍耐し、三七日(幼年期7年+少年期7年+青年期7年=21年)の間、純潔を守り、至誠をもって成長しました。成人の年齢である21歳に、美しい女性として完成した熊女に、桓雄が応えて婚姻し、その間に生まれた子が、韓民族の祖先・檀君王倹です。

完成した熊女

完成した熊女は、人格を完成した真の女性を象徴します。したがって檀君神話は、韓民族にメシヤが誕生し、平和世界を完成することを予言的に啓示したもの、と見ることができます。

檀君王倹は、純潔(じゅんけつ)、敬天愛人(けいてんあいじん)、弘益人間(ホンイクインガン)、平和の白衣(はくい)民族の根となりました。

韓民族の女性神話

韓民族において男性神として祀られる神は、桓因、桓雄、檀君王倹、山神、龍王神、蚩尤天王(チウチョンワン)などが挙げられます。それに対し、解慕漱(ヘモス/扶余)、朱蒙(チュモン/高句麗)、朴赫居世(パク・ヒョッコセ/新羅)、首露王(スロワン/伽耶)は、神の位格ではなく国父(こくふ)格として祀られます。ところが興味深いことに、韓民族にはより多くの女性神話が存在します。

熊女(ウンニョ/熊女): 古朝鮮の建国・檀君の母。

麻姑ハルミ(マゴ): 天地創造・大地を造形した太初の女神。

三神ハルミ、三丞ハルマン: 出産・生命・人間の誕生を司る大いなる母。

自請妃(チャチョンビ): 愛・農耕・五穀の種を地上にもたらした女神。

カムンジャンアギ: 運命・自ら福を切り開いた女神。

バリデギ、バリ公主: 死を越えて生命水をもたらした巫祖神(ふそしん=シャーマンの祖となる神)。

仙桃聖母、正見母主、柳花夫人: 三国の守護神となった国の母たち。

雪門台ハルマン(ソルムンデ): 済州島(チェジュド)で済州島と漢拏山(ハルラサン)を造形した巨女。

ヨンドゥンハルマン: 風・豊漁・海を司る済州の風の神。

麻姑ハルミ(マゴ):大地を創造した女神。 巨大な体躯の女神で、スカートの裾に土を運んで山や島を造り、放尿によって川を形成したと伝えられます。「ハルミ」は卑下の言葉ではなく、「大いなる母(大母神)」を意味する尊称です。ハルモニ=韓(大きい)+オモニ(母)=大いなる生命の母。古い言葉で、天のお母様を表象するものです。

三神ハルミ(三神)、三丞ハルマン:生命の神。 子を授け、出産を助ける生命の神です。三神(さんしん)とは三柱の神ではなく、「胞胎(ほうたい)」、すなわち生命の宿りを意味します。出産から、子が歩き始めるまで、そばで見守る温かい母なる神格で、韓国神話で最も普遍的な女性神です。

バリデギ、バリ公主:死を越えた救援の神。 王が息子を望んだものの、続けて娘ばかりが生まれたため、七番目の娘バリを捨てました。自分を捨てた王が病にかかって死にかけると、バリは独りであの世の果てまで旅をして、生命水を求めてきました。死んだ両親を生き返らせた後には、神となって魂をあの世へ導く巫祖神となりました。この物語は、捨てられた娘が、かえって魂を救うという逆説的な構造を含んでいます。今日でも巫女(ふじょ)たちは、バリデギを通して魂を導きます。

韓国の女性神の特徴

韓国の女性神は、世界のどの文化圏とも異なる際立った特性を持っています。世界の神話が家父長化していく中で女神たちの位格が格下げされた一方、韓民族の女性神像は、純潔、貞操、生命、誕生、創造、救援、守護、自然、豊穣を司る神格です。これは、女性を受動的・犠牲的な女性像とする見方とは正反対の叙事です。特に済州島は、堂神(どうしん=村の祠の神)の80%が女神であるほど、女性神性の伝統が強力に保存されました。儒教的家父長制社会の中でも、民草(たみくさ)の暮らしと痛みを癒やしてきた主体は女性(母)たちであり、これが韓国巫俗(シャーマニズム)の女性中心の伝統へとつながりました。

真のお母様と韓民族女性神話のつながり

真のお母様は、独り娘(ひとりむすめ)であり、聖なるお母様(Holy Mother Han)であると宣言されました。この叙事は、韓民族固有の女性神話の伝統と深く共鳴します。数千年間、韓国文化に積み重なってきた「女性が創造・生命・救援の源泉である」という観念が、独り娘誕生の土壌となったのです。独り娘神学は、独創性を持ちながらも、原理的に見ても、二性性相(にせいせいそう)と天地創造の原理に正確に合致します。

私たちが叙事の主人公です

韓民族・選民大叙事詩は、韓民族の始原を表す神話から始まり、聖書の創世記に込められた天の希望が実現される物語へとつながります。

世界で、純潔(じゅんけつ)、敬天愛人(けいてんあいじん)、平和愛、弘益人間(ホンイクインガン)、光明理世(こうみょうりせい=光をもって世を治める)を、神話の中にすべて盛り込んだ民族は、韓民族が唯一です。数多くの外侵を受けながらも、ただの一度も他民族を侵すことなく、純潔を生命視して恩粧刀(ウンジャンド=貞節を象徴する小刀)を帯び、真理思想によって道(みち)を崇め、忠・孝・烈(ちゅう・こう・れつ)の心情文化を継いできた民族です。世界の人々と趣を異にする忠孝烈については、後ほどみ言葉を申し上げます。

ですから、私たちが歴史の時間に学んだ歴代王の年表があります。太・定・太・世・文・端・世/睿・成・燕・中・仁・明・宣/光・仁・孝・顕・粛・景・英/正・純・憲・哲・高・純…(朝鮮王朝の歴代王を覚えるための語呂合わせ)。これは王を中心とした外的な歴史です。内的な歴史は、目に見えない天の父母様が、人間を通して書き記してこられた叙事(じょじ)です。そして、韓民族・選民大叙事詩の最後の結論は、天地人真の父母を中心とした人類平和によって、天の父母様の希望が完成されることでなければなりません。〈終〉

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